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2024/03/21
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みなさん、こんにちは。
今回は「二重埋没法」のことについてお話ししようと思います。
当院は二重まぶた形成において非常に高い信頼を得ています。僕が行う「二重埋没法」や「二重切開法」の手術方法も現状維持を良しとはせず、自分なりに何か問題点を見つけたら手術法を見直し、そして進化させてきました。自分の中ではずいぶん完成形に近付いたと思いますが、今後も常にブラッシュアップを続けて行きたいと思います。
今回取り上げるのは「二重埋没法でどんな手術方法が良いのか」ということです。それを処置後 の観点から考えてみたいと思います。
二重埋没法において僕が最も重要と考えることは、「処置後に問題点が発生した時に抜糸が行いやすい処置法であるかどうか」という点です。
この記事を読んでおられる賢明なあなたは「えっ、一番大事なことは戻りにくい処置方法かどうかじゃないの?」って、きっと思ったことでしょう。
もちろんどんなタイプの瞼でも戻りにくいような理想的な処置方法が本当に存在するのであれば良いのですが、残念ながらそんな夢のような方法はないのです。埋没法が戻る根本的な原因は 「上眼瞼挙筋-眼輪筋間のブリッジの構造的または機能的破綻」なのですが、外科用縫合用ナイロン糸という人工物を使用する限り、そしてそれを眼輪筋という極めて脆弱な組織に固定する限り、戻る時は戻ります。つまりどんなに糸の本数を増やしても、どんなに複雑怪奇な糸の掛け方の埋没法を受けても(たいていこういう埋没法は切開法並みの数十万円という僕からするとあり得ない処置費用を請求されるんですけどね…)、戻りにくくはならないってことです。埋没法の戻りにくさや戻り易さは手術の方法よりも、埋没法を受けられる方の瞼の解剖学的構造や日常生活習慣に依る因子の影響の方が大きいのです。まあこの辺りを述べ始めると長くなりますので、また 次の機会にでも詳しく話すことにします。
昨今、二重埋没法で「非常に戻りにくい埋没法」との謳い文句で、非常に複雑な糸の掛け方の埋没法が見受けられます。また「糸の結び目が目立たない埋没法」の触れ込みで糸の結び目をまぶたの裏の結膜側に埋め込む方法もあります。
これらの手術法で僕が問題視としているのは、「様々の事情」で抜糸をしなければいけない時 に、「完全な抜糸」ができないケースが多いということです。
「様々の事情」とは以下のような事です。
①二重まぶたの処置を受けたが、イメージと違うので元の状態に戻したい。
②希望した幅が広過ぎたので狭くしたい
③ 埋没糸が原因と考えられる炎症を起こしている
④ まぶたの裏がゴロゴロして目が充血している
これらの状況ではまずは抜糸をすることが必要になります。「完全な抜糸」を行うことが唯一完全な問題解決法になるのですが、複雑な糸の掛け方の埋没法や結び目を結膜側に埋め込んでいる埋没法では、本当に抜糸作業が厄介です。通常、他院で掛けた糸ならいざ知らず、自分の行った手術であれば、たいてい抜去できるものですが、上述のような方法は「処置をした医師自身でさえ完全抜去できない」ケースが多いのです。
処置をした医師がその美容外科クリニックにずっと在籍するとも限らず、同じクリニックの他の医 師が担当したた場合でも、糸の掛け方や結紮部の配置も医師毎に「手術上の癖」というものがあるため抜糸に手こずることくらいは多分どの美容外科医でも経験があることでしょう。
理想的な埋没法とは、たとえ処置をした医師でなくとも埋没法という処置法の基本術式さえ知っ ていれば、簡単に糸を抜去できる処置方法のことなのです。子供の頃によく遊んだ「あやとりの4 段はしご」のような複雑な糸の掛け方をされると、受けたお客様に対してもその糸の抜去をする 医師に対してもほんと「迷惑」です。埋没法という処置方法は、本来「ダウンタイムのない処置方法」です。このブログを見てくれている人の中にも、切開法並みの高額な施術費用を出して複雑怪奇な糸の掛け方の埋没法を受けて、切開法以上に思いっきりポンポコリンに腫れて、挙げ句の果てに数ヶ月も持たずに戻ってしまった…っていう人も多いのではないでしょうか。それなら初めから切開法を選んでた方が全然マシだったって後悔しますよね。
ここで誤解して欲しくないのは、埋没法の糸が残っていたら良くないって言ってるわけではないん ですよ。そもそも糸が入ってない限り二重にはならないです。そして埋没法は繰り返し行なっても大きな問題は発生しない安全な処置です(ただしこれは挙筋法に言えることで、瞼板法のように結紮によって組織挫滅を来たす方法で繰り返しはいかがなものかと…)。埋没法を繰り返す際に以前の糸をそのまま留置したまま、新たに糸をかけることも実際非常に多いのです。ただ、上述の①から④のような何らかの問題が発生した際には、その問題の原因になっている糸は除去する必要があるのです。そういった状況でなければ、少々たくさんの糸(まあ5~10本程度なら)が残っていたとしても問題ありません。糸自体が「悪い」のであればそもそも埋没法という手術法自体が存在し得なくなります。必要な時に抜去できる状態にさえあれば良いのです。それが、「あやとり4 段はしご」のような意味不明な運針をされていると完全抜去は困難なので、問題は「糸」自体で はなく、「スタンダードではない特異(奇異と行っても良い)な運針の手術法」なんです。
良識ある美容外科クリニックの多くは、当院の埋没法(R-MT法)のようにスタンダードな「単純ルー プ」法を採用しています。「単純ループ」は1本の糸で2ヶ所のブリッジを架けることができ、且 つ抜去の際は一回のアクションで2ヶ所のブリッジを同時に除去できるメリットがあり、抜去の際の腫れもほとんどありません。そして最大のメリットは、埋没法を行なってる医師なら誰でも簡単に抜去できるということです。手術した医師でも抜去できないことも多い「あやとり4段はし ご」なんて僕に言わせればポンコツ手術の最たるものです。
このブログを読んでおられる賢明な皆さまはきっとご理解して頂けたと思います。 二重埋没法で一番大事なことは、「問題を解決しやすい埋没法」つまり「どの医師でも簡単に糸 を抜去できるような糸の掛け方の埋没法」を選ぶことなんです。どんなに複雑な糸の掛け方をしたからと言って、決して戻りにくくなるわけではありません。埋没法に切開法並みの数十万円を投資する価値は全くありません。埋没法はあくまでも「簡易的暫定的二重まぶた形成術」なのです。二重切開法のような永続性を実現させることを目的とした立ち位置の処置ではありませんから。
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