電話受付:11:00~19:00 ※休診日も電話対応しております。お問い合わせください。
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二重・目の整形
ルネッサンスのFGF組織再生療法は、自身の甦生力や創傷治癒力(傷を治す力)に働きかけ肌再生を促す治療です。肌のハリや弾力が衰えてきたと感じたり目のくぼみが目立ってきた方におすすめいたします。
FGFは人体組織に存在するポリペプチド(タンパク質)であり、細胞間の情報伝達機能を有するシグナル因子FGFファミリーとして人では現在22種類の存在が知られています。
22種類のFGFはそれぞれ独自の生理的役割を有していて、細胞膜に存在するFGFR(FGF受容体)に結合することにより細胞核へ情報をシグナル伝達することで、その生理的活性が発現します。
治療に使用するFGFはFGF-2(分子量17.4kDa)でbFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)とも呼ばれ、創傷治癒促進・間葉系細胞増殖促進・神経保護等の役割を担っています。このようにFGFは、生体内で各種細胞の増殖、分化、機能を制御する重要な生理活性物質(サイトカイン)なのです。
このbFGF(FGF-2)を利用した、肌質改善の治療が「FGF注入治療」です。
bFGF(FGF-2)の適用部位は様々です。bFGFを利用する際の基本的な考え方は、「加齢と共に萎縮した部分の組織量の改善」です。すなわち年齢とともにボリュームを失ってしまって痩せてしまった部分のボリューム回復ということです。上まぶたのくぼみや深くなった法令線(医学的には鼻唇溝と言います)、こめかみや頬、手背の痩せなどに極めて良好な改善効果があります。
bFGFはもともと体内に存在するタンパク質であり、その創傷治癒過程と同様な機序で投与部位における血管新生や健常な細胞増殖・分化によって再構築され、結果としてボリュームが改善するのです。一度組織が再構築された部位は「自己組織」ですので、ヒアルロン酸等様に吸収されてなくなることはありません。もちろん再構築された部位も長期的には加齢によりある程度組織は再び「痩せて」きますが、通常10から15年以上良好な状態を維持できております(当院でのFGF投薬プロトコールによる経過です)。
当院は、誰もが有する自然の甦生力や創傷治癒力(傷を治す力)に働きかけて、目元のくぼみやくま、口元の深いシワ、痩せた頬や手の甲を改善する「FGF肌質改善療法」をご提案します。
FGFは様々な生理活性を持った成長因子群としてファミリーを形成しています。
「FGFってどんなもの?どんな効果があるの?」って疑問に感じている人は多いと思います。FGFを使用した治療は、ヒアルロン酸等のフィラーを使用する治療と比較した場合、組織内のボリュームを増やしてくぼみや深いシワを改善させるという点に関しては同じですが、その治療原理に関しては全く異なるものです。
ヒアルロン酸というゲルを組織内注入してその体積によってくぼみを改善するのに対してFGFは加齢によって萎縮した組織そのものを増加させることで改善させるものなのです。
以下の内容的は少々難しいかもしれませんが、当院で扱うFGF治療への理解を深めて頂くためのご参考になればと思いFGFについて分子レベルでの解説をしてみました。 極力わかりやすいように(注釈付きで)記述しているので、分子化学に興味がある一般の方には面白い内容かもしれません。
FGFは1970年代に発見されました。当初、等電点(アミノ酸やタンパク質で電荷の総和がゼロにするために必要なpH値)の違いで酸性と塩基性に分類され、これがFGFのプロトタイプです。
現在では、この酸性のFGFがFGF-1で塩基性のFGFがFGF-2(当院で使用するのはこのFGF-2です。)なのです。その後次々に類似するFGFが見つかり現在ヒトでは20種類以上の構造上類似するFGFが確認されています。
線維芽細胞増殖因子という名称は、FGFファミリーの生理的役割を理解する上で大きな誤解を与えているかもしれません。FGFファミリーは単に「線維芽細胞を増殖する因子」ではなく、それ以外に多様な生理活性を有する因子群なのです。体内では線維芽細胞増殖のみならず多様な細胞増殖活性・血管新生・神経細胞の分化、保護など多様な生理作用を有するペプチド群なのです。
分子量は、FGF-1やFGF-2の約17kDaくらいのものから、FGF-14の28kDa比較的大きなものまでさまざまです。各FGFは、さまざまな組織で固有の作用を発現していると考えられています。ヒトを含めた多種間での遺伝子による系統解析をすると、FGFファミリーは7種のサブファミリーに分類することができます。
また、その作用機序に関して言えば、3つのカテゴリーに分類できます。パラクリン、エンドクリン、オートクリン(イントラクリン)です。Paracrine FGFs refers to members of subfamilies FGF1/2, FGF 4/5/6, FGF 3/7/10/22, FGF 8/17/18, FGF 9/16/20; endocrine FGFs includes the three members of FGF 19/21/23 subfamily; and the four members of subfamily FGF 11/12/13/14 are identified as intracrine FGFs.
FGF2の分子像
FGF2は155個のアミノ酸配列からなる分子量!8kDaほどのポリペプチドです。bFGF(塩基性FGF)とも呼ばれますが、これはFGF2の等電点がpH9.6の塩基性によるものです。発見当初、FGFには等電点の違いの2種が存在すると報告されたのですが、これが現在におけるFGF1とFGF2の発見でした。酸性のFGFはaFGF(酸性FGF)と呼ばれ現在のFGF1です。この二つのFGFがいわゆる「プロトタイプ」と呼ばれるものです。
FGFのタンパク構造はは染色体の4q26-27(4番染色体の領域2の6と7のバンドのことを意味します)上にコードされています。全長は36kb(1kb=1000塩基です)で16kbほどの2つのイントロン(最終的に転写されたものからスプライシングによって除去される部分のこと)と3つのエクソン(アミノ酸に翻訳された後も最終的に残る部分です)で構成されています。
mRNAからFGF2への翻訳に関しては、通常のAUGコドンから開始されるものと、それより上流のCUGコドンから開始されるものもあるため、分子量的には5つのアイソフォームが存在します。18kDaの低分子量アイソフォーム(LMW)とそれ以上の高分子量アイソフォーム(HMW)に分類されています。
高分子量FGF2には22kDa、22.5kDa、24kDa、34kDaのアイソフォームが存在します。これらのアイソフォームは、それぞれ違う生理学的活性を有していると考えられますが、低分子(LMW)アイソフォームは細胞外に分泌されてパラクリン(近傍の細胞に作用する分泌形式)分子として、高分子(HMW)アイソフォームは核内に移行しオートクリン(分泌した細胞自身に作用する分泌形式)分子として作用することが知られています。
FGF2低分子量アイソフォームは細胞外に分泌され周辺細胞の増殖や分化に影響を与える分泌型タンパクですが、その分泌のされるまでの細胞内経路が通常とは異なっています。真核生物における分泌タンパクの細胞内輸送経路は小胞体(ER)、ゴルジ装置(Golgi apparatus)を経由して最終的に細胞膜での開口分泌(exocytosis)に至る膜輸送が行われます。
この経路に入るためにリボゾームで合成された直後の初期段階の分泌タンパクではそのN末端に「シグナルペプチド」を持っています。シグナルペプチドは短いペプチド配列で膜輸送(メンブレン・トラフィック)とその局在を示す役割を果たすものです。
わかりやすく表現すると、分泌タンパクの場合のシグナルペプチドは、ER-ゴルジ系に入るための「荷札」みたいなものです。空港とかで受詫手荷物に貼られる行先空港を示す3文字タグみたいなものです。タグによって行き先空港が決まるのと同じで、シグナルペプチドによってオルガネラ(細胞内器官)内での行き先が決まるのです。
つまりシグナルペプチドは細胞内ロジスティックスのコントロールに必要な塩基配列と言えます(こんな小さな細胞内で黒猫さんや飛脚さんみたいなことをしてくれてるということです)。このシグナルペプチドは目的のオルガネラに到達すると切断されます。
FGFファミリーの中にはこのシグナルペプチドを持っていないもの(リーダーレス・プロテインleaderless proteinともいいます)がたくさんあります。FGF1とFGF2もシグナルペプチドを持っていませんが、その他にFGF9、FGF11〜16、FGF20、FGF23もシグナルペプチドを持っていません。
しかしそれではFGF2等のリーダーレス プロテインはメンブレン・トラフィックに乗り込めず細胞外へ出れないってことになってしまいます。
でもFGFファミリーの中のリーダーレス・プロテインでも明らかに細胞外に存在しパラクリン的作用を及ぼす分泌タンパクであるという事実がFGF発見当初より認められており、従来の分泌経路(conventional ER/Golgi-dependent secretory pathway) とは違う経路の存在が示唆されていました(ER/Golgi-independent secretory pathwayまたはunconventional protein secretion=UPS)。以下この違う経路のことをUPSと略記します。UPSにはtype1からtype4の4種類存在します。
type1〜type3はシグナルペプチドを持たないタンパク質の分泌経路で、typeⅣはシグナルペプチドを持っていて小胞体(ER)を通過しますがゴルジ装置を通過しない分泌経路のことです。
FGF2はUPS type Iの経路で細胞外分泌されていることが最近の研究で明らかになりました。
ここでは、FGF2の細胞外分泌経路であるUPS type1について解説しましょう。UPS type1の分泌形式は細胞内で生成された分泌タンパクが細胞膜に孔を形成し通過する形式です(direct translocation)。
リボゾームで生成されたFGF2は、その後細胞膜内葉(innner leaflet)に集積して、内葉上に存在するイノシトールリン脂質との相互作用によって細胞外に分泌されます。この分泌経路の詳細が解明されたのはごく近年になってからです。 先ずは、細胞膜内葉におけるFGF2の動態と細胞外への分泌過程の概略を示しましょう。
では細胞膜内葉で起こるFGF2の細胞外分泌を促進するFGF2の「4つのトランスエレメント」を紹介しながら、をもう少し詳しく解説していきましょう。「トランスエレメント」とはその分子に影響を及ぼす別の分子要素のことです。
ここではFGF2分子に作用する外的要素と考えて頂けばわかりやすいでしょう。因みにトランスエレメントの対義語は「シスエレメント」です。シスエレメントはその分子に影響を及ぼす同一分子内要素のことです。FGF2の細胞外分泌には「4つのシスエレメント」も重要なので同時に説明していきます。
ATP1A1とは、Na+/K+ ATPアーゼのα1サブユニットのことです。Na+/K+ ATPアーゼとは通称ナトリウムポンプと呼ばれる細胞膜タンパクで、Na+を細胞外へ、K+ を細胞内へ能動輸送し、細胞内外で電気化学的勾配を形成し浸透圧や細胞容積の維持など重要な役割を担っています。
Na+/K+ ATPアーゼは、2つのαサブユニットと2つのβサブユニットから構成されるヘテロオリゴマー(2β2)になることでナトリウムポンプとして機能します。αサブユニットにはα1からα4、βサブユニットにもβ1からβ4まで、それぞれ4種のアイソフォームが存在します。FGF2の細胞外分泌に関与するのはこのNa+/K+ ATPアーゼのα1サブユニット:ATP1A1なのです。
ATP1A1はヘテロオリゴマーに組み立てられていない状態でも細胞膜に存在していて、そのオリゴマー化されていないATP1A1の細胞質ドメインが、FGF2の細胞膜への集積を容易にする役割を果たしていると考えられています。
ATP1A1により細胞膜付近に集積したFGF2は、細胞膜を構成するリン脂質の一種であるフォスファチジルイノシトール(4,5)ビスリン酸(以下PI(4,5)P2と表記)と結合します。
FGF2はPI(4,5)P2と結合することでその後のFGF2オリゴマー化が起こり、細胞膜内へ取り込まれるのです。この時にFGF2はPI(4,5)P2の先端基と極めて親和性が高い部分で結合します。その部分とは、分子立体構造上近接するLYS(リシン)127、ARG(アルギニン)128、LYS(リシン)133の残基で構成される結合部位(binding Pocket)です。
FGF2分子内でPI(4,5)P2との結合部位を構成するこの3つの残基(LYS127、ARG128、LYS133)は、4つのシスエレメントの一つです。
この残基の一つ、LYS133残基はFGF2の細胞外分泌を完了させるためのヘパラン硫酸と結合する残基でもあり、とても重要なシスエレメントでもあるので覚えておいてください。
FGF2分子は、細胞膜内葉で細胞膜リン脂質の一つであるフォスファチジルイノシトール(3,4,5)トリスリン酸(以下PI(3,4,5)P3と表記)と結合しているTecキナーゼによってリン酸化されます。
Tecキナーゼは、非受容体型チロシンキナーゼのTecファミリーメンバーに属し、T細胞のシグナル伝達やその活性化に関与するなど免疫機能の制御に重要な役割を担っています。そしてFGF2の細胞外分泌過程でも、Tecキナーゼがトランスエレメントとして機能しているのです。
Tecキナーゼは分子内にPHドメイン(Pleckstrin-homology domain)を有しています。PHドメインはフォスファチジルイノシトールとの親和性が高く、このドメインを有するタンパクの膜局在性を高める役割があります。Tecキナーゼは細胞膜内葉のPI(3,4,5)P3に結合して、同じく細胞膜に存在する非受容体型チロシンキナーゼのSrcキナーゼでリン酸化されたり、あるいは自己リン酸化により酵素活性を得ます。 FGF2のリン酸化はTYR(チロシン)81残基で行われます。
このリン酸化によりFGF2のオリゴマー化、オリゴマーの細胞膜への取り込みが促進されるのです。すなわちFGF2分子内のTYR81残基はシスエレメントと言えます。 TYR81残基のリン酸化によりFGF2のオリゴマー化が促進される理由としては、FGF2のシスエレメントである二つのCYS(システイン)77とCYS95の残基がTYR81との分子立体構造上近接していることによるのではないかと考えられています。CYS77とCYS95はFGFファミリーの中でシグナルペプチドを持っているFGFには存在しません。
このCYS77とCYS95の位置で他のFGF2分子とジスルフィド結合してオリゴマーとなるのですが、TYR81がリン酸化されることによって近接するCYS77、CYS95のジスルフィド結合形成に影響していることが予測できます。
FGF2は、細胞膜内葉においてトランスエレメントであるATP1A1、PI(4,5)P2、Tecキナーゼとの相互作用により細胞膜に入り込みます。
この時FGF2分子同士のジスルフィド結合によりオリゴマー化して細胞膜に入り込むのですが、そのためにはFGF2が8〜12分子のオリゴマーになる必要があります。細胞膜に入ったFGF2オリゴマーは、FGF2分子を内側にPI(4,5)P2を外側にしたトロイダル(環状)構造の孔を形成し細胞膜外葉に輸送されます。
細胞外に分泌されるためにはオリゴマーが解体されてFGF2と結合しているPI(4,5)P2と分離する必要がありますが、この役割を担うトランスエレメントがヘパラン硫酸プロテオグリカンなのです。
ヘパラン硫酸プロテオグリカン(Heparan Sulfate ProteoGlycan: 以下HSPGと記載)とは、ヘパラン硫酸という糖鎖がコアタンパクに共有結合した分子のことです。HSPGは細胞外のFGF2が細胞表面のFGF受容体に結合した際にシグナル伝達に関与する分子ですが、FGF2の細胞外分泌においても重要です。
FGF2が8〜12分子のサブユニットから構成されているオリゴマーは、あくまでも細胞膜内移動用中間体であり、細胞外分泌されるのはモノマーとしてのFGF2分子です。細胞膜外葉に存在するHSPGは、どのような作用機序でFGF2をオリゴマーからモノマーにするのでしょうか。
PI(4,5)P2の部分で触れましたが、FGF2分子でPI(4,5)P2との結合ポケットを構成するシスエレメントとして機能するLYS133残基は、HSPG分子のその糖鎖部分のヘパラン硫酸(以下HSと表記)とも結合する部分でもあります。つまりPI(4,5)P2とHSはFGF2との結合において競合することになります。
この際に鍵となるのはPI(4,5)P2とHSのそれぞれのFGF2分子との結合親和性の強さです。PI(4,5)P2とFGF2の解離定数はKD≒1μMで、HSとFGF2との解離定数はKD≒10nMなので、HSとの結合親和性の方が100倍強いということになります(解離定数が小さい方が親和性が高いのです、念のため)この結合親和性の強さの違いによりオリゴマーは解体されFGF2分子がHSにキャプチャーされると考えられます。
以上でFDF2の細胞外分泌が完了です。
FGF2の細胞外分泌過程(UPS type1)には、4つトランスエレメントがあるのは上記のとおりです。その解説の中にいくつかシスエレメントも出てきましたよね。シスエレメントも4つあります。シスエレメントは同一分子内でその活性に影響を及ぼす要素のことです。
このようにUPS type1は、4つのトランスエレメントと4つのシスエレメントの相互作用が鍵になっていることがお分かり頂けたでしょうか。
次に、細胞外へ分泌されたFGF2がどのように細胞へ作用するか解説します。
FGF2はすでに説明しましたように、細胞への作用形態における分類ではパラクリン(傍分泌)型に属します。 つまり、シグナル分子であるFGF2は分泌された周辺細胞に作用します。この際に標的細胞内へシグナル伝達するために細胞膜表面に特異なレセプターが必要となります。
これが「FGF受容体:FGFR」です。FGFサブファミリーでパラクリン型のFGF1、FGF4、FGF7、FGF8、FGF9サブファミリーとFGF19サブファミリーはコファクターとともにリガンド・レセプター複合体を形成することによりリン酸化されシグナル伝達を行います。
リガンドであるFGFsがFGF受容体(FGFR)が結合することにより、シグナル伝達という分子レベルでの反応が起こり、結果として細胞遊走・分化・増殖というマクロ的かつ生理的な反応につながるのです。 この章では、UPS Type1形式により細胞外に分泌されたFGF2(あるいは他のFGFs)がどのように細胞に作用するかを紹介していきます。
FGF2の細胞へのシグナル伝達にはFGF受容体(以下、FGFRと表記)が必要になります。FGFRは細胞膜表面に存在する「受容体型チロシンキナーゼ(RTK)」スーパーファミリーの一つです。
チロシンキナーゼとは、プロテインキナーゼの一種で、アミノ酸残基のチロシン残基に特異的にリン酸を付与する酵素です。
チロシンキナーゼには「受容体型」と「非受容体型」が存在します。「受容体型」には細胞膜貫通ドメインを有し細胞膜に存在しその細胞外ドメインへのリガンド結合により細胞内へシグナル伝達するのに対し、「非受容体型」は細胞膜貫通ドメインを持たず細胞質内に存在し様々な細胞内の様々な因子と会合することでシグナル伝達に貢献しています。FGF2の細胞外分泌のトランスエレメントの一つの「Tecキナーゼ」も非受容体型チロシンキナーゼでしたよね。
ここで、「リン酸化」ということについて簡単に解説しておきますね。FGF2の細胞外分泌の過程でも頻繁に「リン酸化」という用語が出てきましたよね。「リン酸化って何なの?」って思われた方も多いのではないでしょうか。
タンパク質のリン酸化は、翻訳後修飾(PTM : Post-translational modification)の一つで、タンパク質が生合成された後のリン酸基により「化学的修飾」されることです。遺伝子情報を基に生合成されたタンパク質は「化学的修飾」をされることでその生化学的活性機能や多様性を高めることができるのです。PTMにはリン酸化の他に、糖鎖や脂質の付加、メチル化、アセチル化など極めて多様性に富んでいます。
リン酸化よる修飾の場合、プロテインキナーゼによってタンパク質のアミノ酸残基にアデノシン三リン酸(ATP)のリン酸基を付加する反応のことです。アデノシン三リン酸(ATP)のリン酸基がアミノ酸残基の水酸基(-OH)に転移して共有結合することで、タンパク質の立体構造が変化しタンパク質機能を調節します。
どのアミノ酸残基でもリン酸化されるわけではなく、真核生物の場合リン酸化可能なアミノ酸はセリン・スレオニン・チロシンだけです。このリン酸化による修飾は、タンパク質酵素の活性のオン・オフ調節が行われることが多いのが特徴です。またリン酸化による修飾は可逆性で、プロテインホスファターゼにより脱リン酸化されます。
FGF等の成長因子の場合、リン酸化によるタンパク質機能の活性化によりシグナル伝達カスケードの下流の複数のキナーゼや基質類が連鎖的に反応していくことによってシグナルの増幅が起こり、増殖等の細胞反応に繋がるのです。
FGFRはFGFR1からFGFR4の4種類あり、これら4つのFGFRのアミノ酸配列については55〜71%の相同性が認められます。(FGFR1〜4の構造とは少し異なる「FGFRL1: FGFR like 1」の存在も含めればFGFR遺伝子ファミリーは5種類あることになります。) FGFR1〜4にはそれぞれアイソフォームが存在し、各FGFリガンドとの親和性と組織分布が異なります。
FGFR1〜4は細胞膜表面に存在する受容体型チロシンキナーゼ(RTK)です。FGFRモノマーの基本構造は、3つのドメインから構成されています。N末端側から
となっています。
つまり膜貫通ドメイン(シングルパス: 1回貫通型)を挟んで、細胞外に出ている部分と細胞質内に出ている部分で構成されています。細胞外ドメインにリガンドであるFGFが結合することにより、2つのFGFRモノマー同士がダイマー(2量体)を形成します。リガンド結合により活性化したC末端側の細胞内ドメイン内のチロシンキナーゼがカップリングした相手側のチロシン残基をリン酸化(相互リン酸化)することにより細胞内へシグナル伝達されるという仕組みです。
FGFR1〜4の共通特性として、以下のことが認められています。
それでは、FGF受容体(FGFR)の分子的構造と特性をもう少し詳しく解説していきます。
FGFRの細胞外ドメインは、3つのループ状の免疫グロブリン様ループ状のサブドメインから構成されていてます。N末端側から順にD1(Ig-Ⅰ)、D2(Ig-Ⅱ)、D3(Ig-Ⅲ)です。
D1とD2の接続部には酸性ボックス(以下acid boxと表記)と呼ばれる酸性アミノ酸残基(アスパラギン酸やグルタミン酸)が多く含まれるシークエンスが存在しています。D2ループ内(acid boxの近傍)にはヘパラン硫酸結合部(Heparan Sulfate-binding site 以下HBSと表記)があります。
そうです、このヘパラン硫酸はUPStype1分泌形式の最終段階トランスエレメントとしてFGF2オリゴマーを解体しモノマーFGF2をキャプチャーし、細胞外分泌を完了させる役割を果たしましたよね。後述しますがHSPGは細胞膜表面において、FGF2の細胞外分泌とFGF2リガンドとFGFRとの結合にも密接に関与しているのです。
D1とそのC末端寄りのD2、D3は同様に免疫グロブリン様のループ状構造を持つものの、その役割には違いがあります。 D1と、D1とD2との接続部に存在するacid box(AB)は、FGFRの活性を自己抑制する役割があります。
FGFRの細胞外ドメイン(ECドメイン)のサブドメイン配列を簡易的に表記するとN末端側から順にD1ループ、acid box、D2、D3というドメイン配列になっているので「D1ーABーD2ーD3」になりますが(ABはacid boxを含むD1とD2の linker regionです)、D2よりN末端寄りの部分「D1ーAB」が、シスエレメントとして自己抑制的に作用しているのです。FGFRは、リガンドであるFGFsとへパラン硫酸との複合体を形成することでシグナル伝達が可能となるのですが、「D1ーAB」が、FGFsの結合やヘパラン硫酸との結合親和性を制御することで自己抑制機能をしています。
FGFR3c外部ドメインで2種のフラグメントを作成して行った実験があります。「D1ーABーD2ーD3」の全てのサブドメインを有しているフラグメントと、「D1ーAB」の部分を切断して「D2ーD3」しかないフラグメントを作成して、リガンドやヘパラン硫酸との結合親和性の違いを調べるものです。結果として「D2ーD3」しか持たない外部ドメインフラグメントのの方がリガンド、ヘパラン硫酸との結合親和性が高いという結果が出ました。これは「D1ーAB」の部分が結合親和性の自己抑制を示唆しています。
では「D1」と「AB(acid boxを含むD1とD2の linker region)」のそれぞれのサブドメインのどちらが自己抑制機能に強く影響しているのでしょうか。 FGFR3cの外部ドメインの「D1ーABーD2ーD3」フラグメントとABを除去した「D1ーD2ーD3」フラグメントでは、「D1ーD2ーD3」がFGF1リガンドとの結合親和性では2倍、ヘパラン硫酸との親和性では3倍高くなることから、「acid boxを含むD1とD2のliker region」の役割が大きいと予測できます。
さらにFGFR1cの外部ドメインの「D1ーABーD2ーD3」フラグメントと、D1サブドメインを切断した「ABーD2ーD3」フラグメントの比較では、ヘパラン硫酸との親和性については同等ですが、FGF1リガンドとの結合親和性は「ABーD2ーD3」の方が少し高いことが認められました。つまりFGFR1cでにおいては「D1」サブドメインはヘパラン硫酸の結合の自己抑制機能はなく、リガンド(FGF1)の結合親和性のみ少しだけ抑制するようです。
これらのことから「AB(acid boxを含むD1とD2の linker region)」が、主にFGFRの自己抑制機能を有していることが推測されます。FGFRの「D1」および「acid boxを含んだlinker region」は、意図しないFGFシグナル伝達を防ぐ役割をする部分であるのです。
D2とD3およびD2-DlinkerはFGFリガンド結合ドメインとしての役割があります。
D2内にはヘパラン硫酸結合部位(heparan sulfate binding site : HBS)があり、ヘパラン硫酸はFGFリガンドのHBSとFGFRのHBSの両方に結合することで、FGFリガンドとFGFRとの結合と、シグナル伝達に必要なFGFR2量体形成を促します。 FGFRのHBSは、陽性に荷電していて、陰性に荷電しているHSを静電気的に捕捉しやすいのですが、前述の「acid box」も陰性に荷電していてFGFsの濃度が低い環境では「acid box」は同じ陰性荷電のヘパラン硫酸の代わりにHBSに結合します。そして「D1」は「D2ーD3」に覆いかぶさるように折りたたまれFGFsリガンドのFGFR結合に干渉します。これが、FGFRの「自己抑制状態」なのです。
FGFR1〜3(FGFR4を除く)では、D3サブドメインの「選択的スプライシング」により異なるD3サブドメインの「Ⅲb」と「Ⅲc」というアイソフォームが存在します。「選択的スプライシング」とは同一遺伝子の転写過程で異なるエクソンを組み合わせることで複数のmRNAを作成するシステムのことです。
D3サブドメインはエクソン7からエクソン9にコードされています。エクソン7は「Ⅲa」、エクソン8は「Ⅲb」、エクソン9は「Ⅲc」をコードしています。選択的スプライシングによるエクソンスキッピングにより、エクソン7とエクソン8がスプライシングされるとD3サブドメインは「Ⅲa-Ⅲb」となり、エクソン7とエクソン9がスプライシングされると「Ⅲa-Ⅲc」となるのです。
全てのアイソフォームでD3サブドメインのN末端側の「Ⅲa」は共通なので、前者を「Ⅲb」型と「Ⅲc」型と呼びます。選択的スプライシングで生成されたアイソフォームは、FGFsリガンドの結合特異性の違いを生じさせ、また異なる組織や細胞で異なる生理的活性を示します。発現組織に違いとしては主に、「Ⅲb」型は上皮性組織、「Ⅲc」型は間葉系組織です。
細胞外ドメインの役割をまとめると以下のようになります。
あなたはどの箇所のシワまたは、目のくぼみが気になりますか
カウンセリングでは医師が現在の状態を診察し、ご希望をお伺いしながら処置の適応、処置後のダウンタイム等きちんとお話をさせていただきます。
注入箇所にクリームタイプの表面麻酔薬を塗ります。
心安らぐ音楽が処置室では流れ、少し緊張している方にもリラックスして受けていただける空間になっております。
麻酔がかかったのを確認し、FGFの処置を開始します。
(1)ご希望の注入箇所に、マーキングしていきます。
(2)FGFを注入します。
くぼみ目の場合、時間は両目でわずか約10分程度です。
それ以外の場合、わずか約5~10分程度です。
麻酔を行っているので、処置中の痛みはほとんどありません。
※手鏡で仕上がりを確認して頂きますが、極めて腫れが少ないことを実感いただけます。
注入当日より、入浴・洗髪が可能です。治療部位に赤みがある場合は、無理にこすらず洗い流すようにしてください。
注入当日は車・バイクなどの運転はご遠慮ください。
注入当日の飲酒はご遠慮ください。
注入箇所のマッサージを行ってください。
注入直後は、今までのくぼみが注入による血漿成分のボリュームにより改善しているように見えるため、少し腫れぼったい印象を受ける人が多いようですが、それほど気にされる人はいません。
投薬前
投薬2ヶ月後
治療名 | FGF組織再生療(くぼみ目) |
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性別・年齢 | 女性 30代 |
治療内容 | 当院では「くぼみ目」の程度を軽度、中等度、重度の3段階に分類しています。お写真は中等度の症例写真となります。くぼみ目が改善すると薄くなっていた二重のラインがはっきり出現しやすくなります。 |
リスク | まれに、数日間の内出血を伴う |
費用 | ¥253,000(税込) |
投薬前
再投薬より2ヶ月後
治療名 | FGF組織再生療(くぼみ目) |
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性別・年齢 | 女性 30代 |
治療内容 | 当院では「くぼみ目」の程度を軽度、中等度、重度の3段階に分類しています。お写真は重度の症例写真となります。くぼみが強かったため2回注入しております。 |
リスク | まれに、数日間の内出血を伴う |
費用 | ¥253,000(税込) |
投薬前
投薬2ヵ月後
治療名 | FGF組織再生療(くぼみ目) |
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性別・年齢 | 女性 40代 |
治療内容 | FGFを注入し、2ヶ月後のお目元です。 当院のFGF組織再生療法は、この方のように加齢によりくぼんだ瞼の皮下組織再生を促し、ボリュームを回復させます。 |
リスク | まれに、数日間の内出血を伴う |
費用 | ¥253,000(税込) |
投薬前
投薬2ヶ月後
治療名 | FGF組織再生療(くぼみ目) |
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性別・年齢 | 女性 40代 |
治療内容 | 元々のお目元が軽度のくぼみ目でしたが、FGF治療をさせて頂きくぼみ目が改善され、ご満足して頂けました。 このように軽度のくぼみ目でも、自己組織が増え過ぎるといったことはございません。 FGF組織再生療法は2ヶ月で完成でございます。 |
リスク | まれに、数日間の内出血を伴う |
費用 | ¥253,000(税込) |
所要時間 | くぼみ目治療、両目で10分程度 その他の治療、5分~10分程度 |
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治療回数 | 1回 |
痛み | 治療前の麻酔が一瞬チクッとしますが、治療中は痛みを感じることはありません。 |
腫れ | 治療後は腫れますが、極めて腫れは少ない自然な仕上がり。 |
麻酔 | まぶたにクリームタイプの表面麻酔を塗ります。くぼみ目の場合は、さらに目薬の点眼麻酔をします。 |
傷跡 | ほとんど目立ちません。 |
通院 | 通院の必要はありません。 |
洗顔・メイク | 洗顔は治療当日から可能、くぼみ目治療の場合、アイメイクは2~3日なるべく避けてください。 |
シャワー・入浴 | 当日より入浴・洗髪が可能です。 |
アフターケア | 治療後、注入箇所や目の下に皮下出血が出る事がありますが、この場合約2~1週間で消失していきますので心配なさらないでください。 |
注意事項 | 熱いお風呂や長湯は皮下出血やむくみが強く出る可能性があるのでなるべくお控えください。 治療当日は車・バイクなどの運転はご遠慮ください。 治療当日の飲酒はご遠慮ください。 処置部位に赤みがある場合は無理にこすらず洗い流すようにしてください。 |
副作用・リスク | 注入による一時的な腫れはあるが、治療から約2~3日で落ち着きます。内出血した場合、約1~2週間程度で落ち着きます。 注入直後に出現し、当日~翌日には消失します。 |
お客様一人ひとりのお悩みやご希望に合わせた美容医療を提供するため、治療内容について丁寧に分かりやすく説明し、ご納得いただいた上で治療を受けていただいております。
ルネッサンス美容外科医院は、開院以来高水準かつ進化し続ける医療技術で、日本全国はもちろん、海外からの来院も多数ございます。
当院は、厳しい基準をクリアした医院だけに認められる信頼の証である「日本美容外科医師会認定 医療適正医療機関」に指定されており、院長は美容外科専門医として信頼をいただいております。
お客様一人ひとりに合わせた施術を丁寧に提供しています。
当院では、治療に関して無理な勧誘は一切いたしておりません。
治療費用は、すべて明確な金額をご提示いたします。
当院は、プライバシーを重視しています。
徹底した衛生管理を行い、患者様の安全と安心を守ります。
FGF組織再生療法 | 10分 | 目の下・ほうれい線・頬のくぼみ ¥200,000 (税込 ¥220,000) |
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10分 | くぼみ目¥230,000 (税込 ¥253,000) |
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10分 | 首・手の甲 各¥300,000 (税込 ¥330,000) |
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カウンセリング料 | ¥3,000 (税込 ¥3,300) |
※片目のみ治療をご希望の場合、両目治療の6割負担となります。
※当院ではカウンセリングに重点をおき、患者様のお悩みをお聞きしたうえで、最適な治療法、治療詳細、リスクなど、しっかりと時間をかけてお話させていただいております。
そのためカウンセリング料金は¥3,000(税込 ¥3,300)となっておりますが、何卒ご了承くださいますようよろしくお願い申し上げます。
一度増えた線維芽細胞は体内に吸収されてなくなる事はありませんので、大きな体重変動などがない限り、その効果は半永久に持続します。
ほとんどございません。内出血が出ることがありますが、お化粧で隠せる程度ですので、ご安心ください。
当日よりお化粧、洗顔、入浴は可能です。但し、熱いお風呂や長湯は皮下出血やむくみが強く出る可能性があるのでなるべくお控えください。
処置部位に赤みがある場合は無理にこすらず洗い流すようにしてください。また注入当日は飲酒はお控えください。お化粧は直後より可能です。
当院は医療広告ガイドラインを遵守し、
医師監修のもと掲載しております。